「営業に演技力が必要です」と言うと、大抵怪しまれます。
確かに二時間サスペンスやミュージカルの役者を思い浮かべて、営業手法として使えると思えないでしょう。
ですが、営業の根幹である「話す力、伝える力」は、演技の仕組みを知ることで、大きく変えることが出来ます。
ほとんどの皆さんが勘違いしている、演技と営業力について解説します。
目次
不自然な演技をマネしない
演技と聞いて、どのようなイメージを持たれるでしょうか?
身振り手振りをすること? オーバーアクション? 感情を込めてセリフをしゃべること?
それも演技ではありますが、営業に使える演技力は、そのような俳優の真似事の事ではありません。
そもそも日本人俳優の演技は不自然な動きや言葉が多くあります。二時間サスペンスなんて酷いもんです。人間は人の死体を見つけて大きな悲鳴を出せませんし、無意味に崖に行きません。
営業で使える演技はスタニスラフスキーシステムやメソッド演技法と呼ばれている、欧米の役者のような、自然な動きの演技です。
様式的演技から内面的な演技へ
スタニスラフスキーシステムとは、1900年代初めに、ロシアの俳優兼演出家のコンスタンチン・スタニスラフスキーが提唱した演技理論です。「役に生きること、役の人物の感情と、自分の感情を同調させること」が演技だと説いた理論です。
スタニスラフスキーシステムの導入には、同時期に活躍した劇作家、アントン・チェーホフの作品による影響もあります。
それまでの演劇は、七五調の型にはめる様式美のようなセリフ回しでした。
ですので演技のトレーニングは、声の大きさや活舌であったり、身振りや手ぶりであったりしたのです。
ですがチェーホフは、口語で普通に話をするセリフ回しの台本を書きました。
例えば、晩御飯を食べるシーンでチェーホフ以前の演劇のセリフは、
「さあ、食事をいただくとしよう。今夜も大地の恵みに、感謝をしていただくのだ」
と、普通はそんな言い方しないようなセリフです。それに対し、チェーホフの台本でのセリフは、
「お腹空いた? 丁度ご飯の時間よ」
と、日常で使われる、ごく普通のセリフを使っています。
ごく普通の会話で、チェーホフ以前の身振り手振りが大きい没入した演技では、観ている観客たちから、逆に共感を得にくくなってきました。
松岡修造さんがアスリートを応援しているテンションで、「ご飯を食べるぞ!」と言われても、失礼ながらちょっと不自然で引いちゃいます。
普通の会話でどのように観客の共感を得たらいいかをスタニスラフスキーは考えて、演技システムを考えました。
内面的演技、スタニスラフスキーシステム
スタニスラフスキーは、外面の様式的な演技ではなく、人間の内面を表現する話し方を提唱します。
人間の内なる感情を、言葉や体の動きに載せることが、スタニスラフスキーシステムのベースです。
人間は緊張すると汗をかいてドキドキします。体が反応しています。
体の反応は、心の反応の後に起こります。お化け屋敷を歩いている人がみんな怖そうに見えるのは、怖いと思って心臓がバクバクし、身体を縮めて歩いているからです。
でもこの時他人からは、その人が心の底から怖がっているかを、見ることが出来ません。しかし、体の動きや口調から、怖いと感じていることを受け取ることが出来ます。
心の動きで起きる体の反応を使った演技法がスタニスラフスキーシステムです。
スタニスラフスキーシステムを営業手法として使う
ニューヨークの俳優養成所「アクターズスタジオ」はアル・パチーノ、ロバート・デニーロ、ジュリア・ロバーツと、有名俳優を次々と生み出しています。
そのアクターズ・スタジオは、スタニスラフスキーシステムを体系化し、メソッド演技法として教えています。
役者として生きていくのであれば、本気で演技の勉強をしないといけませんが、営業で使う程度であれば、そこまでしなくても大丈夫です。
ここで大事なのは、演技の技術ではなく仕組みを知ることです。
スタニスラフスキーシステムは、心の動きを体の反応に投影させたものになります。
だから大事なのは、心を動かすことです。
今あなたが売っているモノを、本気で「イイもの」と思ってください。
お客様の役に立ちたいと、本気で思ってください。その心の動きが、身体や言葉に現れるのです。
心の動きが現れた言葉や動きがお客様に伝わり、感動して商品を買います。
自分の心を動かして、話しをしてみてください。きっと周囲の反応は、今までと違うものになります。
販売、マーケティング、とにかく困ったら相談しよう。そうしよう。
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非営利団体 ボドツナ代表
児童館、就労移行支援センター、市民センターなど、
各地でボードゲーム会を開催しながら
地域に根差した社会福祉活動に力を注いでいる
好きなゲーム:グリッズルド
将来の夢:子供から大人まで、みんなが立ち寄れるボードゲームスペースを作ること!