深刻な社会問題だ、と言われる「子供の貧困」
昨今お祭りのように使われているSDGsも、いの一番に「貧困をなくそう」と訴えています
でも実際に、貧困に陥っている子供の状況と心情はどのようになっているのか、ボドツナが何を目指しているのかを書いています
子供の貧困とはどのような状況か?
子供のころ夏休みになると「給食無くなるから昼ごはんどうしたらいいかな」と悩んでいた私は、誰かと貧困について話をすると大体すれ違います
ご飯が無い、いっつもおんなじ服着てる、風呂入ってない、住む家が無い
みんなが言う貧困は、だいたいこんな感じです
飢餓で病院にも行けない、住む家もない
まるでフランダースの犬のネロ少年です
確かにそれも貧困で、支援が必要な状態ですが、言い換えればそこまでの状態じゃないと貧困と認識されず、支援が必要とも思われないことになります
衣食住にも不自由している状況を「絶対的貧困」と表現するのに対して、その前段階の状態を「相対的貧困」と呼びます
厚労省は相対的貧困を、その国の文化生活水準と比較して困窮した状態と定めています
例えば、
・みんなの家にエアコンがあるけど、自分の家はエアコンが買えない、電気代が気になって使えない
・みんなスマホ持ってるけど、自分だけ持ってない
・親が病気のために家事をしなければいけない
・金銭的な理由で大学進学を断念しないといけない
・家計を支えるため、毎日のようにアルバイトをしている
こんな感じの状態です
最近のアニメでは登場しなくなったけど、昔のスポ根アニメでだいたい一人は出てきたキャラです。日向小次郎みたいなのとか・・・
相対的貧困家庭に陥る基準として、厚生労働省では下記の年収を下回った家庭としています

3人世帯(親一人、子二人)であれば、年収が211.5万円を下回ると、相対的貧困家庭とみなされます
ただ相対的貧困家庭は、見た目で分からなかったり、世間体を気にして、自分達からシグナルを出さないこともあり、見分けがつかないのが特徴です
絶対的貧困、相対的貧困に陥っている家庭の子供を総称して「子供の貧困」と呼んでいるのです
相対的貧困に陥った子供たちは、どのようになるのでしょうか
貧困に陥った子供の気持ち
貧困に陥った子供はどうなるのでしょうか?
厚生労働省や支援団体は
自己肯定感の低下や学力低下、ひいては生涯獲得賃金の低下、社会の経済損失を子供の貧困の問題点としてあげています
なぜ自分だけ、スマホを持てないのだろう
なぜ自分だけ、お弁当が無いのだろう
周りの当たり前についていけないことは、諦めに繋がるとのことです
その側面はあるかもしれませんが、正直貧困の現場に踏み込んでいるのか疑わしく感じる内容と私は感じます
↓参考資料
日本財団 子供の貧困
データで見る教育格差。子どもの貧困問題がますます深刻化している実状とは
大学進学を経済的な理由で諦める子供がいます
そのような話をしたら、「こんなに奨学金制度がありますよ。やる気の問題じゃないですか?」と、ご丁寧に沢山の奨学金制度を紹介してくれた方がいました
確かに奨学金を貰えば大学に行けるかもしれません
ですが貧困に陥っている子供は、一秒でも早く今の状況を抜け出したいのです
大学進学など時間の無駄にしか感じません。中学校や高校を出たら出たら直ぐに働いてお金を稼いで自立しよう、家計を助けようと考えています
「お金が無いから大学に行かない」と答えるのは、大学進学をしない主な原因ではありません
一般的な方々が大学に行く理由はなんでしょう?
大手企業に入るためや、何か学びたいことがあるからではないでしょうか
おおよその人が、夢や将来設計を持って進学するのです
貧困に陥り、厚労省が示す文化水準生活を営めないと、夢や将来設計に興味が無くなります
「お金があれば、今の状態から抜け出せるんだ!」
貧困に陥った子供が考えることはそれだけです
子供の貧困の危険性は、夢も将来設計もないリアリティーに陥ることです
夢や将来設計が無いということ
貧困に陥ると、夢も将来設計も無く、自分と自分に近い身の回りのことしか気に停めなくなります
世の中がどのように成り立っているか、社会の出来事に興味が湧かないのです
音楽や美術芸術にも興味は湧きません。それよりも、どうやって3度の食事が豪華になるかが重要です
フランダースの犬のネロ少年は、仕事を失い、家を追い出され、空腹と寒さの中、人生の最後にルーベンスの祭壇画を見たいと願い、ノートルダム大聖堂にたどり着きます
そしてルーベンスの祭壇画を一目見ると、飢えと寒さの中死んでいきました
ネロ少年が最後にルーベンスを見て死のうと思えたのは、裕福と言えないまでも牛乳配達の仕事で生計を立てることができていて、絵を描く余裕があったからです
画材を買う余裕のある時があったから、絵画芸術に興味を持てたのだと思います
もしネロ少年が生まれながらにして貧困で、画材を買うこともできない生活が人生のスタートだったなら、そもそも絵画に興味を持つことは無かったでしょうし、ルーベンスを見て死のうとも思わなかったでしょう

貧困により塾や習い事に通えず学習機会が少ないことが問題ではなく、そもそも興味がわかないことが問題なのです
貧困に陥った子供たちには、物的な支援と共に、絵画や芸術、芸能、音楽、科学や歴史、経済など、世の中を作っている仕組みや文化に興味を持たせる投げかけが必要です
自分の知らない世界があることを知れば、自分に出来そうなことややってみたいことに気づきます。夢や将来設計が生まれます
夢や将来設計を持つことで、「進学のために奨学金を申請する」などの行動が変わるのです
ボードゲームを通じて、夢を見るキッカケを作りたい
ボードゲームにはロシア帝国の帝都サンクトペテルブルクの繁栄とロシア革命までを描いた「サンクトペテルブルク」や、大航海時代の交易を描いた「交易王」など歴史的な出来事や、経済の仕組みを投影させたゲームが多くあります
塾や習い事は通えなくても、ゲームを通じて世の中の成り立ちに興味を感じてもらうことができるのです
むしろ学校や塾の教育カリキュラムでは、世の中の成り立ちを感じることは不可能だと私は思います。そもそも文部科学省が作る指導要領は、そんな視点を持っていないからです
将来の夢や将来設計を持ち、進学を考えるようになれば貧困のスパイラルから抜け出せるかもしれません
貧困に陥っている子供たちに、食べ物や生活用品を届けて支援をすることも大事なことです
子ども食堂のような居場所は、もっと数多く必要ではないかと思います
その様な物的支援だけでなく、夢を見るキッカケをボドツナで作っていけたらと思います
↓ボドツナの詳細はこちら

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非営利団体 ボドツナ代表
児童館、就労移行支援センター、市民センターなど、
各地でボードゲーム会を開催しながら
地域に根差した社会福祉活動に力を注いでいる
好きなゲーム:グリッズルド
将来の夢:子供から大人まで、みんなが立ち寄れるボードゲームスペースを作ること!